宇宙のゴミを回収する!各国の取り組みを紹介
2017/02/06
宇宙に浮かぶゴミが
今大きな問題になっている事は
ご存知ですか。
以前の記事で
問題を詳しく
書いてます。
今回は
宇宙のゴミの回収に
ついて書いていこうかなと
思います。
目次
宇宙のゴミをなぜ回収しなければならないか
宇宙ゴミについて簡単に説明すると、
使わなくなった人工衛星や部品や工具など
不要になった物が地球の周りを漂っているいます。
10cm以上の確認できている物で2万個、
1~10cm宇宙ゴミは50万個あると推測されています。
それ以下の物になると数百万個とも数千万個あるとも言われ
実際の数は分からない状態です。
ある調べでは近い将来にはゴミに覆いつくされて
人間が地球から出れなくなるかも知れないという事です。
これでは宇宙開発が滞ってしまいますので、
各国がその対策に乗り出しているのです
様々な宇宙ゴミの回収実験が行われています
回収実験は国際的な問題で各国で研究や開発が行われています。
漁網で宇宙を掃除
老舗製網業とJAXAが組んで宇宙ゴミを回収する
そんな夢みたいな事を実現させそうです。
創業100周年を迎えた「日東製網」がJAXAと共同開発中の
「宇宙ゴミ回収システム」がすごいのです。
金属で編んだ数キロの網
金属で編んだ長さ数キロの「誘電性テザー」と呼ばれる
細長い網を使ってゴミを捕まえて大気圏に再突入し
最終的に燃え尽きるという方法です。
網が地球の周りを周回する事で電気を帯び、
それが地球の磁場と影響する事で徐々に
高度を下げていきます。
開発で難しかった点は実用化するには網の長さが
1,000m必要ですが、このテザーには
アルミとステンレスの金属繊維で直径が0.1mmと
とても切れやすい素材を使って作っていきます。
このような切れやすい素材をより合わせて
網状に作るのに四苦八苦したそうです。
日東製網とは
結び目なしに編み上げる丈夫な無結節網(むけっせつあみ)の
製造機を世界で初めて発明した。
切れにくく折りたたんでも軽く、
かさばらないという画期的な網を開発し
国内シェアの半分を占めるトップ企業です。
実用化はいつ
実用化に向けて実験装置をJAXAが
2016年10月打ち上げ予定のこうのとり6号機に搭載し、
宇宙ゴミに見立てた重さ20kgの円形の装置に、
テザーを取り付けて実験を行う予定でした。
しかし打ち上げ予定のこうのとり6号機に
配管からの微量の漏洩が確認された為
打ち上げが延期になってしまいました。
こうのとりは国際宇宙ステーションに
食料や物資を定期的に運ぶ無人の宇宙船です。
微細な配管の漏れでも検査に引っかかる宇宙技術は
安全を第一に考え準備に多大な時間が掛かかります。
新たな打ち上げ日はまだ未定との事で実験再開が待たれます。
帆を使って宇宙ゴミの回収
イギリスのサリー大学サリー宇宙センター の
提案によると人工衛星がミッションを終えた後
25年以内に巨大な帆を使って人工衛星を地球の方向へ降下
させ、大気圏に再突入させて燃やし尽くすというものです。
高度600kmまではまだ希薄な大気があるため、
帆はその抵抗を利用できるとされています。
大きさ5m×5mの高性能プラスチックフォイル製のセイル部を
格納するモジュールのサイズは靴箱程で重量も2kg程です。
これを衛星に搭載する事で役目を終えた後
25年以内にこの帆を張り出し大気の摩擦によって軌道を
徐々に変え大気圏に再突入させるものです。
この技術は新たに作る衛星に取り付ける事で
運用終了後に大気圏に再突入させる事で
宇宙ゴミを増やさない技術です。
他には宇宙空間に網を打ってゴミを包みこむもの。
これでゴミをつかまえたら、
宇宙船で引っ張って地球まで降りていける物や
ロープがついた銛を打ち込みロープに付けた小型推進装置を使って牽引し
大気圏に突入させて燃上させると言った実験を2017年に開始予定です。
今回は実験なので実際に宇宙ゴミを回収する事はないですが、
実験の成功を待ちたいですね。
高強度レーザーによる宇宙ゴミ除去技術
理化学研究所と光量子工学研究領域光量子技術基盤開発グループの
共同開発グループは軌道上から高強度レーザーを宇宙ゴミに照射し
除去する技術を考案した。
数cmの小さな宇宙ゴミを除去する方法の提案は初めてで設置出来れば
数cmサイズの宇宙ゴミは5年ほどで大部分の除去ができる
との発表です。
研究手法と成果
宇宙ゴミの除去に高強度レーザーを照射することで
プラズマが噴き出す現象が起きます。
出典:理化学研究所研究成果より
そのプラズマが噴き出す反作用を使い
高度を下げて大気圏に再突入させます。
100㎞以上離れた場所から10秒程度の照射で
10cmサイズのスペースデブリを減速して地球大気へ
再突入させることができることが分かりました。
出典:理化学研究所研究成果より
一方10cm以下の宇宙ゴミはカタログに登録されていませんので、
小さな宇宙ゴミを検出させる為に
口径約2.5mのEUSO型超広角望遠鏡を用いることを提案しました。
EUSO型超広角望遠鏡は100kmの距離にある0.5㎝の大きさの
宇宙ゴミから反射する太陽光を検出するのに十分な感度を持っています。
課題
稼働を実現するには多くの課題をクリアしなければいけません。
平均パワーが500kwに達する高強度のレーザーを
100km離れた0.5cmほどの宇宙ゴミに対して
10秒間照射し続けなくてはなりませんが、
高強度レーザーは精密な調整が必要なため、
打ち上げロケットの振動に耐えられません。
しかも宇宙ゴミは時速25000kmでという
超高速で移動しているので、
通過する時間は10秒程しかありません。
宇宙ゴミを見つけてレーザーを照射し続けるには検出から
照射する為の軌道制御までの一連の作業を
1秒以内行わなければならないという事です。
全ての制御を自動でできる望遠鏡の開発と
精密な調整の不要な高強度かつ高頻度のレーザーを
作る事が必要ですが、
今の技術を使えば十分可能だという事です。
まとめ
今回は宇宙で増えすぎたゴミを回収する
様々な取り組みを調べてみました。
1950年から始まった宇宙開発により
宇宙には回収せず沢山のゴミが溜まっている状態です。
2009年2月12日にはロシアの運用停止中の衛星と
アメリカのイリジウム社が運用中の衛星が衝突し大破した事や
中国のミサイルによる自国の運用停止中の衛星爆破などで
宇宙にゴミが飛躍的に増えました(
以前はアメリカやロシアも同じように爆破実験をしていましたが
宇宙ゴミの増大が懸念される事が取り上げられ今は行っていません)
宇宙ゴミは2000年~2014年で2倍に増えています。
このまま放置すると宇宙ゴミ同士が衝突し爆発的に
自己増殖してしまう事が将来起きてしまいます。
そうなると各国の宇宙開発に支障をきたす事態が懸念され、
様々な国際的な研究や実験が行われているのです。